02 , 18
たぶん一生忘れることのできないだろう衝撃を与えてくれる本、というのが、人には何冊かあると思う。私にとっては、これがその1冊だ。
精神感応能力(テレパス)を持った少女、七瀬が家政婦として入り込んだ家庭で見聞した人間の深層心理を、容赦なく活写した本。七瀬三部作が一。ドラマ「富豪刑事」や「時をかける少女」「パプリカ」などの原作者で超絶有名作家の手によるもの。正攻法な作風で大人向け。
私が初めて手に取ったのは、大学入学後すぐのことで、あまりの衝撃にその日は一話だけしか読めず(短編連作だったから)、以後も一日一話しか読めず、読み終わった後はしばらく他の本が読めませんでした。
精神感応能力を持った超能力者が登場する話は、古今東西けっこうな数があるんだろうけど、未だ私はこれの上を行くと思う作品には出会っていません。とにかく生々しい描写が凄いんです。それがテーマだから当然なのだろうけど、何もここまで書かんでも、と思う。
余談だけど、他の、テレパス能力者が登場する話と比較してみる。
ISOLA―十三番目の人格(ペルソナ) / 貴志 祐介というのもあるんですけど、こちらはミステリが主題です。そのせいなのか、主人公の由香里がテレパスを使うときの表現にも、これほどのエグさはありませんでした。でも「家族八景」を先に読んでしまった私には、物足りなさを感じました。能力について突き詰めて考えると、薬に頼らなきゃコントロールできないのに、能力を利用してお仕事していたりするのも、どうにも矛盾を感じるし。
ミステリだから、テーマじゃないから、人間の暗い心理を描く必要がなかったから、と言えばそれまでだけど、でも主人公がテレパスでしかも一人称で書くのなら、せめてもう少し、能力に翻弄された学生時代の描写だけでも、もっと迫力を込めて描いても良かったのでは?
対して、龍は眠る / 宮部 みゆきは、一人称で書かれているけれど、その視点は常に無能力者によるもので、キーパーソンである能力者は登場人物が一という扱い。能力者の日常生活で感じるはずの困難は、能力者との関わりのなかで、無能力者の私の目を通して、その想像力を持って語られます。だから物足りなさを感じるはずもなく、アイデアの勝利だと思いました。
「イソラ〜」は酷評になりましたけれど、しかしどれも個性的で、小説にはいろいろな描き方があることを教えてくれる作品群です。もし興味とお暇があれば、手にとってみて下さい。後悔はしないはず。
精神感応能力(テレパス)を持った少女、七瀬が家政婦として入り込んだ家庭で見聞した人間の深層心理を、容赦なく活写した本。七瀬三部作が一。ドラマ「富豪刑事」や「時をかける少女」「パプリカ」などの原作者で超絶有名作家の手によるもの。正攻法な作風で大人向け。
| 家族八景 筒井 康隆 (1975/02) 新潮社 この商品の詳細を見る |
私が初めて手に取ったのは、大学入学後すぐのことで、あまりの衝撃にその日は一話だけしか読めず(短編連作だったから)、以後も一日一話しか読めず、読み終わった後はしばらく他の本が読めませんでした。
精神感応能力を持った超能力者が登場する話は、古今東西けっこうな数があるんだろうけど、未だ私はこれの上を行くと思う作品には出会っていません。とにかく生々しい描写が凄いんです。それがテーマだから当然なのだろうけど、何もここまで書かんでも、と思う。
余談だけど、他の、テレパス能力者が登場する話と比較してみる。
ISOLA―十三番目の人格(ペルソナ) / 貴志 祐介というのもあるんですけど、こちらはミステリが主題です。そのせいなのか、主人公の由香里がテレパスを使うときの表現にも、これほどのエグさはありませんでした。でも「家族八景」を先に読んでしまった私には、物足りなさを感じました。能力について突き詰めて考えると、薬に頼らなきゃコントロールできないのに、能力を利用してお仕事していたりするのも、どうにも矛盾を感じるし。
ミステリだから、テーマじゃないから、人間の暗い心理を描く必要がなかったから、と言えばそれまでだけど、でも主人公がテレパスでしかも一人称で書くのなら、せめてもう少し、能力に翻弄された学生時代の描写だけでも、もっと迫力を込めて描いても良かったのでは?
対して、龍は眠る / 宮部 みゆきは、一人称で書かれているけれど、その視点は常に無能力者によるもので、キーパーソンである能力者は登場人物が一という扱い。能力者の日常生活で感じるはずの困難は、能力者との関わりのなかで、無能力者の私の目を通して、その想像力を持って語られます。だから物足りなさを感じるはずもなく、アイデアの勝利だと思いました。
「イソラ〜」は酷評になりましたけれど、しかしどれも個性的で、小説にはいろいろな描き方があることを教えてくれる作品群です。もし興味とお暇があれば、手にとってみて下さい。後悔はしないはず。






